PMPは合格率以上に難易度が高い!失敗から学んだ一発合格への勉強方法とは?

PMP(Project Management Professional)は、PMIという民間企業が認定しているプロジェクトマネージャーの知識(経験)レベルを推し量る国際的な資格です。
PMIが監修・発行しているPMBOK(Project Management Body of Knowledge:一般的にピンボックといいます)というプロジェクトマネジメント知識体系ガイドをベースに周辺知識を広く問う資格試験です。
この記事に興味のある方はPMPについてはご存知だと思いますのでPMPの細かい説明は割愛します。
今回はPMP取得を目指している方に向けて、どのように勉強していくのが良いかを、実際に受験・合格した立場として記事にしていきたいと思います。
専門用語がバシバシ出てきて、PMP、PMBOKを知らない方にはチンプンカンプンだと思いますので、ごくごく特定の方向けのものとなります。
私は、2度の挫折の上3度目にやっと合格できました。
自分なりにどこにつまづいて合格できなかったのかが見えてきていたので、合格体験記として後輩に向けて受験対策をまとめてメールを送り、その彼は1発合格を果たしました。
持っている素養やセンスもあるかと思いますが、私自身は受験者に向けたアドバイスとしては的確なものだったと思っています。
この合格体験記、失敗しない勉強方法が、受験者の皆さんの一助になればうれしいです。
また、先日PMPの更新手続きを行いましたので、記事にまとめました。
更新の際の参考にしてください。
PMP取得のきっかけ
私が現在勤めている会社は役職認定のために、特定の公的資格、民間資格の取得が条件の一つとなっています。
私の場合はグループ会社間の出向で、出向前にいわゆる課長職の認定をされていましたが、現在勤めている会社に出向となった際に、3年半以内に上記取得を取得しないと降格になると告げられていました。
取得しなければいけない資格は情報処理の世界でいうところのエキスパート試験に分類されるようなものです。
情報処理推進機構(IPA)の情報処理技術者試験でいえばスペシャリスト試験、ORACLEのプラチナ、CISCOのCCIE、PMIのPMP、メンタルヘルスマネジメントの1種、日商簿記1級、果ては中小企業診断士などが対象になります。
当初の3年間はIPAのセキュリティスペシャリストやネットワークスペシャリストを目指して受験していましたが、「午後2のあと何点」というところで不合格が続き降格まであと半年というカウントダウンが始まってしまいました。
それが2015年上期のことです。
2015年の春のセキュリティスペシャリストの試験を受験して、ダメならあきらめる、と思っていたところ、別件で事業部長と面談する機会があり、その際に事業部長にたまたま当時の状況を説明した所、いわゆるお金で解決できる資格はないのかという話があり、その場で「PMP」なら研修受ければ資格取れるんじゃないかという安直な話で取得することとなりました。
PMP なめると痛い目にあう試験
PMPは合格率が比較的高い資格といわていますが、かなり難しい資格です。
取得のきっかけが知識を習得しようとか、業務に活かすためなどの高尚な目的ではなく、資格取得のための受験でしたので、一度目の受験まではかなりなめてましたが。
合格率が高くてもいわゆる「難しい資格」というのはたくさんあります。
たとえば医師や薬剤師などは試験の合格率は非常に高いです。
医師は91.5%、薬剤師は76.9%となっています。(2016年執筆時調査)
でも医師の試験が簡単な試験とはだれも思わないと思います。
ご存知の通り、医師や薬剤師になるには、大学などで専門の課程を修めて卒業しなければ受験すらできません。。
6年間も勉強して試験を受けるわけですから受けるほうも相応の覚悟で受験します。
また、医師などは受験大学別に合格率を公表されているため大学側も合格率を落とさないために試験対策は万全です。
大学としては受かる見込みのない人には受験をしてほしくないわけです。
そのため卒業が見送られることもあります。
医師や薬剤師などの資格が合格率が高いのは受験資格が非常に厳しいためです。
PMPにも、同様のことが言えます。
PMPを受験するには以下の条件が必要となります。
- 公式の研修の受講
PMI認定の研修費用は5万円~20万円くらいしますので、個人で受ける人はなかなか少ないと思います。
- 指定された期間のプロジェクト経験の証明
プロジェクトの質は基本問われませんが、
大卒以上:36か月以上のPM経験、および4500時間以上の実務経験
高卒以上:60か月以上のPM経験、および7500時間以上の実務経験
が必要となります。つまり最低でも3年以上のPMとしての経験が必要となります。
また、それを誰かに客観的に証明してもらう必要があります。
- 高額な受験費用
555ドル(再受験の場合:375ドル)
PMI会員であれば割引がありますので、通常は会員登録後に受験しますが、それでも405ドル(再受験の場合:275ドル)掛かります。会員登録は139ドル掛かります。
- 受験申請手続きはすべて英語
私はこれが一番苦労しました。
PMIのサイトはすべて英語(日本支部は別)なので、申請画面も英語、実務経験などの申請文もすべて英語で報告が必要となります。
実際は研修を受けた施設の講師の方に相談に乗っていただきながら、何とか書き上げました。
このように(特に金銭面で)気軽に試験を受けてみようということにはならず、だれもが一発合格を目指して受験するため合格率は高く見えますが、逆に言うと受験対策をばっちりしたうえで受験しても半数近くの人は不合格となる資格です。
PMからPLに向けたPMP一発合格に向けた受験アドバイス
私は訳あってPMPを取得しましたが、取得に向けて研修を受け、その後合格に向けて勉強を進めていく中でPMBOKをいうものが、「プロジェクトマネジメントの知識体系ガイド」として、単なる「絵に描いた餅」ではなく、意外と実践に即したガイドであることが解りました。
部内のプロジェクトリーダーにも勉強させたいと思い、事業部長に直訴して研修の予算を確保しました。
私が合格するまでに思ったよりも苦労したため、受験を控えた部下に少しでも参考になればと思い、アドバイスを送りました。
実際に送ったメールの本文がこちらです。
これから受験をする方にはきっと参考なる内容だと思いますので、公開させていただきます。
何度か読み直していただくと、そのように勉強を進めると、効率的なのか、効果的なのか理解していただけるかと思います。
<メール本文>
PMP試験の勉強法について、アドバイスです。
(長くなっちゃいました^^;)
PMP試験は各プロセスの流れを理解しているかを問う問題が非常に多く出ます。
PMIがそこを重視しているということです。
- パフォーマンスデータがどこのプロセスのアウトプットで
どこのプロセスでパフォーマンス情報となり、どこで作業
パフォーマンス報告書となるか - 変更要求はどこで出され、変更要求がどのプロセスで承認され、
承認後変更要求となるのか - 成果物がどこで作成されどこで検証されどこで受入されるか
等は絶対に押さえておく必要があります。
あとリスク登録簿に関する問題も非常に多かったと記憶しています。
今どのプロセスが実施されていて、次はどのプロセスが実施されなければいけないか
⇒PMPのあなたは次に何を行いますか?という問題が大変よく出ます。
現在こういう状況だが、何がいけなかったのか
⇒PJがうまくいかない結果としてPMPとして何をしなければ
いけなかったのかという問題も多いです。
つまりここでもプロセスの前後関係の理解度が問われます。
研修ではPMBOKを読み進めるための最低限必要な知識を教わっただけです。
PMP試験に受かるためには研修で教わった内容を覚えただけでは足りません。
PMBOKの読み込みが必要になります。
ただ、頭からページをめくって全部読むのはつらいと思いますので、講師の方からも教わった通り、まずはe-learningを解いて、正解してもしなくても関連する部分と前後をPMBOKを読んで理解するようにしてください。
研修中マーカーした部分以外からもたくさん出題されます。
一通り解いたら、上記の通りプロセス全体の流れを頭に叩き込んでください。
そして上記のように重要なアウトプットはどのプロセスを経てどのインプットから作成されるかを図式化して理解してください。
添付のようなイメージです。
(注釈:メール送信時は手書きの図を送付しましたが、PMBOKのAPPENDIXにこちらの図がありましたので引用します)
この図式化は非常に重要です。
問題を解くにあたってプロセスの関連をつねに意識しておく必要があるからです。
あなたは今どのプロセスを実行していて次に何を実施するのか
↑これが何よりも重要です
ここを意識して勉強すると1回で受かるかも・・・
本番の試験はe-learningの問題に比べて設問が長いのが特徴です。
ただし、すべてを読まなくても回答できる問題も多いです。
ひどい問題だと10行あるうちの最初の9行は設問とは全く関係ない情報で最後の1行の内容に回答するなんていう問題もあります。
本試験では休憩なしでも1問72秒で解いていかなければなりません。計算問題もあるので実際は1問1分以内で解いていかなければなりません。
設問はすべて読まずに、何を聞きたいのかを設問の後半から推測し選択肢と照らし合わせながら、設問を読み進めるなどのテクニックも必要になります。
どのプロセスの話をしているのかを瞬間的に判断できるようになる必要もあります。
勉強方法としては研修で教わった内容の理解を深めて、その前後のプロセスとの関係を理解していくようにしてください。
e-learningの問題をすべて正解できるようになってもおそらく試験にはPASSしません。
問題をやりこみたいタイプの人は以下のサイトをおすすめします。私は2回目の試験に落ちて落胆していた時にここのサイトを知りました。
なんとなくPMPの試験対策としては心細いとは思いながらもサンプル問題を試してみたところ、回答の解説が非常に親切でわかりやすく、知識の整理に非常に役立ちました。
月々300円なので集中してやれば費用も全然掛かりません。
日割りはないので5/25に入会して6/22の試験まで2か月分でしたがそれでも600円です
http://pmana.jp/pc/lec.php?mode=list_cate&main_code=203&sub_code=10&sortkind=0&keyword=
PMP試験対策・合格編
PMP試験対策・基礎編
とありますが、私は合格編だけでした。
基礎からという人は基礎編も受けてみてもいいかもしれませんね
月初から始めれば300円で済むと思います。
ここのサイトはお勧めです。
ここに出合わなければ6月中の合格はなかったかもしれません。
私と違いPMP取得が必須でない二人には試験へのモチベーション維持が何より厳しいかもしれません。
でも、まだ少しでも研修で教わった内容を記憶している「今」集中して勉強しないと、合格は本当に厳しくなると思います。
3回目以降で自腹で受験するのは考えにくいですよね。
なので、会社からでる2回の受験費用を有効に活用してください。
(注釈:私が勤めている会社では2回まで受験費用を会社が負担してくれます)
1回目はどんな問題なのか気楽に受けてみるのも、それはそれでありですが、2回目の(次はないという)プレッシャーは相当なものです。
落ちた時のショックったらそれはそれは大変なものですが・・・(ー_ー)!!
ぜひ上記を踏まえて一発合格を目指して、対策を進めてください。
実際に受けてみるとわかりますが、200問もあるので次回のために問題を覚えていこうと思っても全然覚えて帰れません。(そもそもそんな時間的余裕すらないはずです)
設問だけでなく、選択肢もすべて覚えていかないと回答が判らないからです。
実際講師の方にこんな問題出たけど回答はなんですか?と聞いても「選択肢がないと判らないけど、おそらくこういう回答か、こういう回答では?」みたいな話になります。
⇒試験を受けることが次の受験対策になりにくい試験です。
合格率60%などと言われていますが、なめてかかると簡単に落ちます。^^;;;
頑張ってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
PMPは過去問が公表されておらず、受験者も守秘義務がありその公表は禁止されています。
そのため試験対策が非常に取りにくい試験ではありますが、PMIがPMBOKを通してPMとしてどうあってほしいかを読み取っていけば合格に近づけます。
研修を受けたらすぐ合格できるような生易しいものではありませんが、体系立てて勉強し、各プロセスとの関連性を中心に勉強すれば一発合格も夢ではありませんのでぜひ頑張ってください。