真夏の間違いやすい植物のメンテナンス

猛暑が連続すると、人も体力を消耗しますが、植物も体力を消耗します。
今人気の多肉植物は、砂漠などが原産地のことが多いので、真夏こそ元気にいきいき育っていくだろうと考える人が多いのですが、そうは問屋がおろさないようです。
なんで!?暑いのは得意だろう!?と思うのですが、意外な落とし穴があります。
そんな真夏の間違いやすい植物のメンテナンスについて、間違いやすい点も含めて、どうすればよいのかご紹介していきましょう。
砂漠と大きく違う日本の夏の熱帯夜
砂漠と日本。
猛暑であっても、日本のほうがはるかに温度が低いような気がしますね。
でも、夏の砂漠は雨が全然ふらない「乾季」になります。
つまりは、湿度が非常に低いので、体感温度は同じ温度でも高湿の場合に比べると涼しく感じられます。
サボテンの大部分は生育期から区分すると、「夏型種」になりますが、実際は真夏は生育が少し落ちます。
多肉植物の大部分は、春と秋が生育期で、夏型種も同じで、夏型種は夏に休眠しないものの、真夏は熱すぎて活動が少し鈍くなります。
原因は日本の夏の高温多湿です。
湿度が低ければ、もう少し気温が高くても耐えられるのですが、蒸れによるダメージが強くて、耐えられなくなってしまいます。
故郷の砂漠であれば、夜は気温が下がるのに、日本の夏は熱帯夜が続き、夜でも気温が下がらず湿度も高いまま。
暑さにはめっぽう強いはずなのに、故郷の砂漠と大きく違いすぎる気温に、サボテンも含めた多肉植物はダメージを受けてしまいます。
真夏にサボテンが枯れ込みやすい
真夏になると、サボテンが枯れ込みやすくなります。
水が切れているから枯れてきたのだと考えがちで、夏で乾きやすいこともあって、せっせと水やりしてしまいます。
そうこうしているうちに、どんどん弱って、サボテンが縮んでいきます。
暑さが募ってくると、サボテンは活動を休眠気味にします。
活動が鈍ってくると、水を吸う量が減るので、水やりしても水を吸収しなくなります。
高温期に土に水分が多くあると、土の中が蒸れてきて、根に重大なダメージを与えます。
真夏、サボテンはなるべく明るめの涼しいところに置いて、水やりを控えめにして様子を見ましょう。
土はカラッカラで構いません。
湿っぽいとダメージになります。
夏中ずっと水やりしないでいると、多少萎んだようになったり、シワが寄ってきたりしますが、秋に涼しくなってから水やりを再開すると、見違えるように蘇ります。
完全に干からびたものは元に戻らないので、そこまで行く前に水やりは行いましょう。
全く水をやってはいけないわけではないけれど、できる限り水やりは控えるのが夏越しのコツです。
枯れたように見えても枯れていないものも
コノフィツムやリトープスなどの、「冬型種」と言われる多肉植物があります。
冬型種は秋から生育を開始し、冬も生育期なので、「冬型種」といいますが、寒さに強いとは限りません。
5℃を下回ると枯れてしまうものが大部分で、真冬になる「厳冬期」は活動が鈍ります。
この点は、真夏に活動が鈍る「夏型種」と同様です。
冬型種は、冬のほうが元気なので、その逆の夏は活動を休止する休眠期になります。
春が過ぎて気温が上がっていくとどんどん弱ってきて、夏場は特に、まるで枯れ果てたような姿になります。
水切れと勘違いしてせっせと水やりすると、休眠しているので根が水を吸わないため、根腐れしやすく、場合によっては全体が腐ってきて、溶けてしまいます。
冬型種は、春以降、水やり間隔を段々と長く取っていき、夏の間は水やりをしない「禁水」でのりきります。
秋になって気温が下がってくるまで、直射日光を避けて涼しい日陰で管理しましょう。
9月になって水やりを再開すると、ぐんぐん育っていきます。
それまでは、枯れたように見えますが、枯れてはいないので、慌てて処分しないようにしてください。
また、休眠期に入っている植物に、直射日光を当てても元気にはならないので、夏の間は日光浴させないようにしましょう。
秋あじさいまで楽しむなら上から水やりを
鉢植えのあじさいや、あじさいを大きくしたくないときは、7月中に花を切り落とし、枝全体が短くなるように剪定します。
地植えのときなど、そのまま大きくしても構わない場合、花を切り取らずに「秋あじさい」を楽しみます。
夏の間、あじさいは花色がだんだんと色あせてきて、緑色がかった、くすんだ色合いになっていきます。
更に秋が深まると、ワインレッドに色づいてきます。
これが「秋あじさい」です。
あじさいの本来の花「両性花」はとても小さく、花と思われている大きな花「装飾花」は萼片の一種なので、葉っぱと同じように紅葉するためワインレッドに色づきます。
地植えのあじさいが大きく育ってくると、水やりはほぼ自然任せで構いませんが、小さいうちは夏の暑さで、装飾花が枯れてくることがあります。
枯れてしまうと秋あじさいを楽しめないので、上の方から水をジャージャーかけて、秋あじさいになるまで、葉っぱを枯れ込ませないで育てます。
装飾花は本来の花びらではないので、気温が高い日中であっても、気がついたときにジャージャー水をかけてあげると、枯れるのを防げます。
あじさいは土は乾燥気味を好むので、土に水があるかどうかは問題ではなく、いわゆる「葉焼け」を防ぐことにポインになります。
秋あじさいを楽しんだ後は、卒塔婆のようにあじさいの花が枯れ込んできますが、これを切り取ると、翌年花が咲かなくなるので、注意が必要です。
多少見栄えが悪くても、枯れ込んだまま、春まで放置します。
春になって、葉っぱが出てきてその中をそっと覗いて、枝先に花芽がついたのを確認してから、ようやく去年の花殻が摘み取れます。
バラの夏越しは花を咲かせないようにして
一季咲きのバラは、春にしか花を咲かせませんが、四季咲きのバラは、条件さえ整えば、真夏であっても花を咲かせようとします。
暑い夏に咲いてくれるなんてすごい、このバラは暑さに強いバラだ、と考える人もいますが、実はあまり良いことではありません。
咲かせようと思えば四季咲きであれば、真夏であっても花を咲かせてしまいますが、花のためには咲かせないのが一番です。
バラであっても、暑い夏は、夏バテします。
バラにとって、花を咲かせることは、多大なエネルギーを消費します。
夏バテしているバラに花を咲かせることは、無駄にエネルギーを消費させることにつながるため、おすすめできません。
夏はバラの肥料を控えめにする
バラは肥料切れすると、花を咲かせにくくなります。
夏に無駄に花をさかせないためには、7.8月は追肥しないのがおすすめです。
花を咲かせるよりも、暑い夏を乗り切って、エネルギーを秋に向かって蓄えてもらうためにも、なるべく蕾ができにくいようにします。
ついた蕾を全部とってしまったほうがより確実にエネルギーの浪費が防げます。
夏バテしている人がこってりした料理がたべられないように、夏バテしているバラもたっぷり肥料をもらっても吸収しにくいので、その点からも追肥を控えめにするのはプラスの効果が見られます。
葉っぱが枯れたりなくなったりしても大丈夫?
夏に水が十分にない時があったり、暑さが強すぎるとき、バラの葉っぱが枯れ込んでくることがあり、場合によっては緑の葉っぱが一枚もない状態になってしまうこともあります。
その場合でも、バラは枯れたとは限りません。
茎が緑色で、葉っぱのついていた跡に芽がついていれば、秋になって涼しくなってくると、また芽吹いてきます。
夏暑いうちにこれ以上水切れしないように、しっかりと水やりして秋まで乗り切りましょう。
茎が茶枯れて、簡単に折れるようになったときは残念ながら枯れてしまっていますが、そうでないときは、まだ枯れていません。
慌てて処分しないようにしてください。
【まとめ】 植物の夏越しの仕方は種類にあわせて
夏暑いときに、土が乾いていても、水やりをしたほうが良い植物ばかりではありません。
どのような環境を好むかは植物の種類によって異なるので、注意が必要です。
枯れたように見えても、枯れているものばかりではないので、早計に処分してしまわないようにしましょう。