はじめてでもできる?畑を借りて野菜を作ってみたい

天候不順などがあると、野菜が高騰します。
そんなとき、自分で野菜が作れたら、と思いませんか?
畑に使う土地を持っていなくても、貸し菜園・市民菜園を借りて、野菜を作ってみることは可能です。
しかし、はじめての野菜づくりに挑戦してみる場合、まず最初に言えることが一つだけあります。
初心者は、同じ金額を出して野菜を買ったほうが量的にも質的にも良い野菜が買えます。
ある程度経験を積んで、効率よく収穫できるようになるまでは投資だと思ってガマンする必要がありますが、それでも自然と触れ合う楽しみ、自分作った野菜を食べる楽しみは格別です。
今回は初心者の方に向けて、自分で野菜を栽培する場合の注意点をご説明します。
「はじめて野菜を作る」と言ってみても
一言で、「はじめて野菜を作る」と言っても、それぞれの人に蓄積されている野菜づくりに対するノウハウの量が全く違います。
どういうこと?と思われるかもしれません。
例えば大根。
栽培に必要なのは、種と土地だけでしょうか?
「大根十耕」といって、深く根を張るので、種まきの前に、深いところまで、フカフカになるまで、何度も土を耕しておかなくてはいけません。
「十耕」は、十回耕せってことです。
「そんなの常識」という人もいれば、「それ、どういう意味?」という人もいます。
「大根十耕」を何でやるの?

Dig garden
で、何を使って?と問われたら、なんと答えるでしょうか。
ガッチガチの土の畑だったら、移植ゴテのようなどちらのお宅にもあるようなものでは、とてもじゃないですが手に負えません。
最初は、穴を掘る用のショベル(スコップ?地域によって名前が変わるのでどちらでもいいのですが)や、「備中鍬(びっちゅうぐわ)」がおすすめです。
一般的に刃が2本から6本のものがあり、よく使用される3本あるものは、「三つ子」とか、「三本鍬」「三本マンガ」と呼ぶこともあります。
栽培するスペースを形作る「畝立て(うねだて)」には、備中鍬は使わず「鍬」を使います。
備中鍬で耕すにしても、耕し方が、ピンと来ない方もいらっしゃいます。
生まれてから一度もお目にかかったこともなく、使ってみたこともなく、使っているところを見たこともない場合、すぐには使いこなせないかもしれません。
「大根十耕」のその次は?
それでもなんとか、「10回耕した!」とします。
やっと種まきできる・・・とは行きません。
最初に、肥料をしっかり施肥する必要があります。
土が今ひとつだったら、土壌改良に腐葉土を混ぜるとか、バーク堆肥をブレンドしてみるとか、工夫も必要ですが、「土が今ひとつか、いい土か」区別がつけば申し分ないのですが、区別が付く人ばかりではありません。
肥料も、「やっぱり有機だ!」と言われる人が多く、口にするものを育てるには有機が一番でしょうが、「牛糞」「鶏糞」「豚糞」「馬糞」堆肥もいろいろあって、効き具合もお値段も、扱いやすさや匂いの強さもまちまちです。
有機堆肥は、まいたからと言ってスグに効くわけでなはなく、土の上にバラバラまきません。
これから植えるところを大きく掘ってから、堆肥をまき、土と混ぜ合わせたあと土を埋め戻します。
有機堆肥は、地中の微生物が分解してはじめて肥料として根が吸収できる形になるので、分解されるまで有効ではありません。
苗の根が堆肥に直接当たると根が傷んでしまうので、根が接することがないように施肥します。
堆肥をまいたその後は?
種から育てる場合、種の根が出てくるまで時間もかかり、ある程度大きくなるまで肥料はいらないので、急ぐのであれば、有機堆肥を施肥したら種まきしてもいいでしょう。
堆肥をまいたら1週間待ってからのほうがいいという人がいますが、実際、1週間置いていると、土の上に草が生えてきていることが多いので、草抜きしてから種まきすることになります。
大根の種をまく時、一年中まいてもいいとは限りません。
種の種類によってもまきどきが違い、育てたい時期に合わせた種をまく必要があります。
また、大根は栽培期間、ある程度涼しいほうが好きなのですが、種が芽を出すことができる温度「発芽温度」が25℃なので、あまり寒くなってから種まきしても芽が出ません。
種まきする。どうやるのがベスト?
種まきするのに、どうやってまくのがベストでしょうか。
どのくらいの深さにまいたらいいのでしょうか。
上に土はかぶせるの?水はいつやるの?
疑問は次々と湧いてきます。
育てる野菜によっては、穴を開けてそこに種を埋めるものもあります。
大根はぱらぱらまいて、近くの者同士を順次間引いて間隔を広げながら、ぬいた芽は「抜き菜」として食べながら育てていきます。
大根ひとつとっても、種だけ買ってスコップがあればなんとかなる、というわけではありません。
道具も資材もいろいろ必要
「畑で野菜を作る」といっても、道具も資材もいろいろ必要です。
大根だけ作るわけには行かないし、いろいろ作ればその野菜によって作り方も違います。
貸し菜園によっては、畑仕事に必要な道具や資材が揃っているものもあり、この場合は何も持たずにふらら~~と訪れても畑仕事ができます。
野菜づくりのノウハウも、指導してくれる方が在中しているので、教えてもらいながらすすめられるので、失敗も少なくなります。
でも、そういった至れり尽くせりの施設は、利用料が、月5000円以上で、借りられるスペースは狭い庭程度です。
超初心者にはうってつけですが、「高い」という印象を持ちます。
たとえノウハウがもらえ、収穫量がアップしているとしても、省スペースで収穫できるものはしれており、自給自足というよりは、足しになる程度です。
5000円分野菜を買ったほうが、量的にも質的にもいいものが買えます。
野菜づくりの最大の敵は雑草
たとえ野菜が上手く作れなくても、雑草だけはよく育ちます。
雑草が生えないような土地は、栽培に適していない痩せた土地なので、雑草が生えないよりは生えたほうがいいのでしょうが、この草抜きがとても面倒です。
畑仕事の何が一番障害かというと、「草抜きが大変!」につきます。
栽培するスペースの土を盛り上げることを「畝立て」といいますが、 畝立てをして、畝と畝の間の溝である「畦(あぜ)」にこれまた雑草がかなり生えます。
畦全面に、敷きワラをしておくと、かなり防げますが、完全には防げません。
防草シートを敷いても、防草シートの横からは雑草が生えます。
週末しか菜園に行けない場合、草取りにかなりの時間がとられます。
時間があるから大丈夫、と思うかもしれませんが、真夏の昼間、長時間炎天下で草抜きするのはとても過酷です。
脱水症状を起こして倒れることもあるので、たかが草抜きとはいいきれません。
菜園の水やりは基本は自然の恵みだけですむ
畑の野菜は、植え付け時以外は、あまり水をやらずに、基本的には自然の恵みだけで賄わせます。
葉物野菜やきゅうりなど、植え付けしてからしばらくの間、毎日水やりして、ある程度まで育てなくてはいけないものもあります。
こういった手間のかかる、まめに水やりが必要な品種をのぞいて栽培すれば、基本的な水管理は自然任せで構いません。
週末しか菜園にいけなくても、水管理に関しては、何ら問題ありません。
野菜の収穫は待ってくれない
オクラを育てていて、久しぶりに畑に行ったら巨大な槍のようなサイズに育っていた、ということがあります。
食べられるか食べられないかは、ヘタに包丁を入れてみて、すっと入れば食べられ、硬いと全体が硬いので食べられません。
ぼやぼやしていて、全て食べられなくなっていた、ということもあります。
じゃがいもを収穫しようと思っていた矢先、雨続きになり、ようやく畑に行ったらすべて腐っていた、ということもないわけではありません。
週末にしか時間がとれなくても、育てている野菜がベストの状態で週末を待ってくれるわけではありません。
【まとめ】元は取れないものと思ってはじめてみよう
貸し菜園を借りて野菜を作る場合、「元は取れないもの」と思って、土に触れる・野菜を育てる・園芸を楽しむことを目的として始めてみましょう。
土に触れることは、とても楽しい経験です。
ある程度ノウハウのある方なら、広い土地を借りても、近所に配ってもまだ余るほど、上手に育てられますが、何もノウハウがないと、そううまくはいきません。
ゼロからスタートすると、何度も失敗するものですが、段々と上手になっていき、畑仕事が楽しめるようになります。
はじめて野菜を作ってみる場合は、過度の期待をせずに、まずは経験を積むことからスタートしてみてください。