クリスマスに咲く?咲かない?クリスマスローズの秘密

クリスマスローズは、キンポウゲ科ヘレボルス属のヨーロッパから西アジアにかけて分布する多年草です。

白い地味な原種系の「ニゲル」と、カラフルで人気のある「オリエンタリス」があります。

厳密にはクリスマスローズはニゲルをさし、オリエンタリスはクリスマスローズとして流通していますが「レンテンローズ」と呼ばれ、本来はクリスマスローズとは呼びません。

「ニゲル」は、「ノイガー」「ニガー」「ナイガー」などとも呼ばれ、イタリアから旧ユーゴスラビアのバルカン半島にかけてが原生地です。

 

クリスマスローズの開花時期

ニゲルはクリスマスの前後~3月ごろまで咲きます。

オリエンタリスは早春~初夏の花で、暖地では2月ごろにも咲くようですが、寒冷地では4月~6月頃に咲きます。

高価なので育てにくいかと思いきや、庭植えの場合、ほぼ放置で育ちます。

ニゲルは寒冷地では雪の下で白い花を咲かせるので、花を見たければ雪を掘り分ける必要があります。

クリスマスローズの花びらは実際は花びらではなくガクなので、雪に埋もれた程度では花痛みしません。

小さな株は買ってから3年は咲かないといわれていますが、地植えにすればほぼ放置の3年なので、長いようで実際は結構あっという間です。

 

園芸品種が多数あるのは春の「オリエンタリス」

色とりどりの可憐な花を咲かせて多数流通しているクリスマスローズのほとんどは春に花の咲く「オリエンタリス」で、クリスマスには全く花が咲かないので、レンテンローズとして、分けて考えたほうがいいのではないかと思います。

育て方そのものは、クリスマスローズと同じくほぼ放置で育ちます。

「広義のクリスマスローズ」とも言われていて、苦し紛れな名前のようですが、基本的な葉の形や花の咲く様子などはニゲルと大きく違いません。

濁りのない花色の物、丸い花びら(ガク)のもの、八重咲き、半八重咲など、バリエーションが豊富です。

 

クリスマスローズの栽培環境

クリスマスローズは、水はけのよい明るい半日陰に植え付けるのが適していて、秋から春までは日当たりがよい場所を好むので、落葉樹の下などが最適です。

梅雨の時期など、過湿にならないように、周りよりも少し盛り土をしたような場所に植えるようにしましょう。

鉢植えで育てる場合は、10~4月は日当たりのよい場所に、それ以外の時期は明るい半日陰に置いて育てます。

庭植えの場合は、乾燥が続いて株全体がぐったりしない限り水やりは必要ありません。

鉢植えの場合は表面の土が乾いたら、底から流れ出るまで水やりし、しっかりと水切りをしておきます。

どちらかと言えば乾燥気味の環境を好むので、土が乾いていないときに水やりをしないようにしましょう。

クリスマスローズは夏の高温多湿が苦手で、夏場は半休眠状態になっているので、夏の水やりは乾きすぎない程度に控えめにして、施肥もしないようにします。

 

葉っぱが多い株と少ない株、どっちがお得?

葉っぱの多い株と葉っぱの少ない株が売られていたら、どっちの株を買うのがお得かだと思いますか?

普通は葉っぱが多い株と答えますが、クリスマスローズの開花株を購入する場合は、しっかりした蕾の数が多くて、葉っぱが少ない株を選びましょう。

葉っぱが多い株は、葉っぱにばかり栄養が行き、蕾が上がりにくくなっています。

古い葉っぱを残しているだけのことも多いので、葉っぱが多い方がどちらかと言えば手入れが不十分な株となります。

 

クリスマスローズのお手入れとして、蕾が上がってくる頃、古い硬くなった大きな葉っぱを取り除くという作業があります。

古い葉っぱは硬いので、新しい葉っぱを傷つけやすい上、大きいので新しい葉っぱの生育を邪魔してしまいます。

硬い古い葉っぱを取り除くと株全体がすっきりし、蕾のつきもよくなります。

古い葉っぱを取り除くときは、できるだけ株元から切り落とします。

 

クリスマスローズには有茎種もある

クリスマスローズのほとんどは「無茎種」と呼ばれる、葉っぱの茎と、花が咲く茎が別のものが多いのですが、中には葉っぱのついた茎がどんどん伸びてその先端に花が咲く「有茎種」もあります。

クリスマスローズは交配が簡単なために、有茎種か無茎種か区別ができない「中間種」もあり、「有茎種」と「中間種」は古い葉っぱを切ろうとすると花芽を切ってしまうことになるので、古葉をとる作業はやりません。

有茎種の場合は、花が終わって、葉っぱが黄色く変色してきてから茎を根元から切り落とします。

また、茎が長くなるので、雪や風で茎が折れないように支柱を立てて保護します。

 

有茎種と無茎種の区別はつくの?

無茎種の場合、葉っぱの茂みの中に新たに花芽がついて、それがどんどん伸びて来ます。

有茎種の場合は葉っぱの茂みの中に花芽がないので、すぐにわかります。

また、茎の先端に花芽がついてしまえば、見間違えようがなく、有茎種は1m近くまで成長するものもあり、一般的に背が高いのでわかりやすくなっています。

ニゲルは中間種に分類されますが、古い葉っぱの先端に花が付くことはないので見間違う心配はありません。

また、無茎種のクリスマスローズは常緑なのも特徴の一つです。

 

クリスマスローズの肥料

花芽が付き始める前の秋10月ごろと、花後にお礼肥として、緩効性化成肥料を株もとにまきます。

施肥することで花つきがよくなりますが、多肥にしなくても、最悪施肥しなくても花を咲かせてくれます。

古葉を取り除く前にしっかり葉っぱが育っていれば、十分に花芽は期待できます。

 

クリスマスローズの種

クリスマスローズの花の色が悪くなって緑色になってきてもそのままにしていると、花の中央に種がついてきます。

種をつけると株が消耗するので、開花してそれほど年数がたっていないような株の場合は種をつけないように、花色が悪くなる前に花を茎の付け根から切り落としましょう。

有茎種の場合は、付け根から切り落とすと株が枯れてしまうことがあるので、新しい茎が出ているのを確認してから切り落とします。

クリスマスローズの種は、採取してすぐにまく場合と、種を冷蔵庫などで乾燥しないように注意しながら保存しておいて秋にまく場合があります。

 

クリスマスローズの株分け

鉢植えでクリスマスローズを育てる場合は、毎年一回りか二回り大きな鉢に植え替えるか、株分けして育てます。

庭植えの場合は、植え替えずに育てられますが、大株を整理するとき、掘り上げて株分けすることもできます。

あまり小さな株に分けすぎると、開花まで長い年月が必要になるので、3芽以上を一株にするようにしましょう。

クリスマスローズの株分けは10月~3月ごろまでいつでも可能ですが、10~12月に行うのがおすすめです。

古い土をしっかり落とし、傷んで黒ずんだ根を整理して、新しい土で植え替えましょう。

 

クリスマスローズの土

クリスマスローズは水はけのよい土を好むので、赤玉土小粒・腐葉土・軽石小粒を同量程度ブレンドした土や、クリスマスローズ用の土などを用いましょう。

庭土の水はけが悪い場合は、腐葉土や、軽石小粒・バーミキュライト・パーライトなどをブレンドして水はけを改良しましょう。

 

クリスマスローズの病害虫

ヨトウムシやナメクジなど、葉っぱを食害する害虫にどんどん葉っぱを食べられてしまうことがあるので、見つけ次第捕殺します。

ヨトウムシは株の周りの土の中に潜んでいるので、周りを掘り起こして捕殺しましょう。

 

ハモグリバエやハマキムシ、アブラムシ、ハダニなどが付くと葉っぱの色が極端に悪くなることがあります。

ベニカXスプレーなどを葉の裏表に散布し、それでも被害が拡大するときは虫のついた葉っぱを取り除きます。

 

株が混みすぎると、過湿や蒸れなどで黒いシミなどが葉っぱにできることがあります。

見つけ次第、病気の株を掘り起こして処分します。

 

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