意外と簡単! 四季咲きの【薔薇】 一年間の手入れの仕方

GWが終わるとバラの新苗(若い接ぎ木されて一年目の苗)が出回る季節になります。

ガーデニングフェアやバラ園、ホームセンターでもいろいろなバラの苗が並んでいると、ウキウキしますね。

バラはすぐ枯れる、世話の仕方がわからない、そんな方が多いもの。バラの世話はそれほど難しくありません。

手順を守って世話をすることで、手間暇をかけなくても長く育てて花を楽しむことができます。

旅行などの長期不在でも、ちゃんとバラにお留守番してもらえる技もあります。

 

四季咲きのバラのお手入れ・一年間

四季咲きのバラの一年間のお手入れをまとめました。

プロの園芸家のおすすめのお手入れは非常に緻密ですが、ご家庭でバラを楽しむのであればそれほど気合を入れなくても、四季咲きの丈夫なバラを選んでおけば手間もかからず育てられます。

バラは虫が付きやすいため、日々の虫チェックが一番面倒ではないかと思いますが、無農薬で有機栽培をすることを目標としなければ、労力を抑えつつ長く花を楽しむことができます。

土の作り方についてはこちらにまとめましたのでこちらを確認してください。

 

3月下旬~4月上旬 水やり再開・春の芽だし肥

桜が咲きはじめるよりももう少し早く、暖かい日が続くようになったら、バラも葉っぱが伸びてきます。

急に寒さが何日か戻ってもダメージを受けるほどバラは弱くはないので、冬囲いとしてバラの根元につけていた敷き藁などを取り除き、水やりを再開します。

春先はまだそれほど気温も上がってきていないので、水は毎日あげなくてもかまいません。ある程度土が乾いているときだけ水やりします。

葉っぱを育てて、つぼみがたくさんつくように、株もとにバラ用の肥料をまいて、アブラムシなど簡単に薬剤で取り除ける虫がつかないように、オルトランなどの殺虫剤を株もとにまいておきます。

春先の肥料は「芽だし肥」と言います。地植えのバラの場合は牛糞などの堆肥も使えますが、においが強いので、移植ごてで株近くに穴を掘って堆肥を埋め、土をかぶせておくようにします。バラ用の市販の肥料の場合は株もとにばらまきます。

 

5月 葉っぱと虫チェック・追肥

バラは肥料食いなので、バラの肥料は毎月のように株もとにばらまくようにします。葉っぱが茂ってきて、つぼみがたくさん見られるようになったら、5月の肥料を株もとにまいておきます。

バラは土が乾く前に水やりをする方がよい状態で育てられるので、5月になれば、毎朝水やりをするようにします。
水やりするときに、葉っぱに穴が空いていないかしっかりチェックしましょう。花がまだ咲いていない状態でも虫はやってきます。卵まで完全に取り除けるように、穴が空いている葉っぱを見たらつみとっておきます。

葉っぱを摘み取ることで、次に虫食いになったときにすぐに気づけます。

 

6月 春の一番花開花・花殻つみ・追肥

育てている地域の気温にもよりますが、5月下旬~6月の上旬にバラが咲きはじめます。

四季咲きのバラの場合も、春の一番花が一番数多く咲いてくれるので、バラを育てる喜びが一番感じられる季節になります。

一斉に花が開いたら、すぐにまた株もとにバラ用の肥料をまいておきましょう。
花を咲かせるには栄養がたくさん必要なので、花のごはんである肥料を素早く与えておくことで、途切れず花が続きます。

花は、全体が茶色くなってしまう前の、中心の花芯が黄色から茶色に変わったときに摘み取ります。
そのままにしているとバラの実「ローズヒップ」をつけるために栄養が集中するようになり、花数が少なくなってしまいます。

花殻を摘み取るとき、先端部分に残っている花が一輪だけになったら、その花の下の、葉っぱが5枚葉ないし7枚葉のところの上で切り落とします。
3枚葉のところからは新芽が伸びてこないので、この部分は残しません。

また、花に気を取られているすきに虫がはびこっていることもあるので、葉っぱに穴が空いていないかチェックを忘れないようにしましょう。

アブラムシやうどんこ病などが出たら、ベニカスプレーを散布するとすぐ改善するので、使ってみてください。

 

7月~8月 朝夕の水やりと虫チェック

花の数が徐々に減ってきて、暑い夏がやってきたら、株が弱ってくるので花を咲かせないようにします。

このため、7~8月の熱い時期には肥料を与えないようにします。水やりも朝夕2回行って、株がぐったりしていないか注意します。
花が少なくなってきても、虫は活動を中止しないので、葉っぱに穴が空いていないかのチェックは欠かせません。

直射日光が強くて、葉っぱが茶色くなってしまっても、この期間は枝同士が混みあっていなければそのままにしておきます。この時期に傷んだ葉を取り除いてもプラス効果が得られないからです。

茶色くなった葉っぱを取り除くのは、秋に涼しくなってきてからにします。
蕾がついてしまっても、葉っぱがほとんどないなど、株が極端に弱っていなければ、蕾をわざわざ摘み取らなくても株はそれほど弱りません。

なるべく咲かせないように心掛けるだけでも十分対応できます。

 

9月 秋花に供えての追肥と虫チェック

9月の半ばになり、涼しくなってきたら株もとにバラ用の肥料をまいて、秋花がたくさんつくように準備をします。

9月になると葉っぱ以外にも虫がついていることが多いので、虫チェックは念入りに行いましょう。

株もとや根に虫がつくと、あっという間に枯れてしまうので、注意が必要です。夏の間に傷んだ葉もこのとき摘み取るようにします。

 

10月くらいまでは暑い日は夕方にも水やりをするようにします。
秋花は春花より若干数も大きさも小ぶりになりますが、色が濃い目になるのでバラ本来の美しさがより引き立ちます。

花が咲き進むのが春よりもゆっくり目なので、花殻つみは春よりもゆっくりペースにして同じ花を長く楽しむようにします。

 

10月~12月 追肥・花殻つみ・虫チェック

 

四季咲きのバラの場合、寒冷地であっても年末までは花を楽しむことができます。毎月株もとにバラ用の肥料をまくのを忘れないようにしましょう。

秋になると枝がかなり伸びてきていて、ごちゃごちゃ混みあってしまうとこがあります。重なって互いに絡んだようになっている枝を剪定して取り除き、風通しを良くするようにします。
傷んだ花を取り除き、葉っぱや株もとに虫がついていないかよく観察し、見つけたら取り除くようにします。10月以降は水やりは朝だけで十分ですが、さらに寒くなってきたら2日に1回など、間隔をあけるようにします。

 

11~12月の寒くなってきたとき 鉢植えのバラの植え替え

バラは休眠している冬以外は根をいじると弱ってしまうので、植え替えはなるべく寒くなってからにします。

鉢の中が根でいっぱいになっている鉢植えのバラの、鉢を外して植え替えをするのもこの時期。
雪が降りだすまで待たなくても大丈夫ですが、なるべく寒くなってから行いましょう。

傷んだ根を取り除き、新しい土に植え替えます。根を切り詰めて同じ鉢に植えても、一回り大きい鉢に植えても構いませんが、ミニバラであっても直径も深さも30㎝以上ある鉢に植えつけるのが基本です。

上に雪が積もってもバラは外に置いておいた方がしっかりと休眠できるため、翌年きれいな花を咲かせますが、鉢が小さいと根が凍って枯れてしまいます。

植え替えで地下部を切り詰めたときは、同時に地上部も切り詰めます。
樹高の1/3くらいまで切り詰めて、葉っぱを全部取り除きます。枝のところどころにぷくんと膨れた赤い部分があり、これが新芽なので、これを残してその上の部分を切り落として剪定します。

 

クリスマス前後 葉っぱの摘み取り・冬囲い・寒肥

クリスマス前後まで、雪の中でも四季咲きのバラは咲いているものですが、年を越す前についている葉っぱを全部取り除きます。

前年の葉っぱを付けたまま冬越しすると、病害虫を保ったまま越冬することになるので、リセットする意味でも大切な作業です。

ついている花は切り花やドライフラワーで楽しみましょう。

樹高の1/3~1/2くらいのところにあるぷくんと膨れた赤い新芽を残してその上の部分を切り落とし、枯れ枝や細い枝も取り除くと残っている葉っぱはわずかになるので、それもとってしまいます。

落ちた葉っぱもなるべく集めて取り除き、病害虫の持ち越しをしないようにします。

株もとから30㎝ほど離れたところを移植ごてやスコップで穴をあけて牛糞や鶏糞などの堆肥を入れ、土をかぶせておきます。

寒い間にゆっくりと効いてくるように、この冬の肥料「寒肥」は有機肥料を使うのがおすすめです。近隣でもほとんど窓を開け放たない時期であり、すぐに土をかぶせるとにおいがあまり漏れないので安心して作業ができます。

鉢植えについては虫が付きやすいので、有機肥料よりもバラ用の肥料を巻くだけにするのがおすすめです。

寒肥を施肥し終わったら、株もとにバークやピートモスなどを1㎝位の厚さで敷いた後、わらやむしろなどを敷いておきましょう。

鉢植えもバークやピートモスを敷いた後、鉢の周りをプチプチなどで覆っておくと安心です。

 

これ以降、春になるまでバラは休眠して根が水を吸わなくなるので、水やりはほとんど行いません。

土の乾燥が著しいときだけ朝10時ごろの暖かいときを見計らって水やりします。

 

大寒前後 つるバラの誘引・庭植バラなどの植え替え

大寒前後の特に寒い時期に、ツルバラの誘引や、庭植えのバラを掘り起こす作業をおこないます。

休眠しているバラは枝をかなりハードに曲げることができます。

ツルバラのつるは、縦方向ではなく横方向にむいている枝から新しい枝が伸びてきて花芽を付けるので、なるべく横になる部分が長くなるようフェンスや支え棒に誘引します。

ネットやアーチ、フェンスなどに誘引するとき、柵をくぐらせながら誘引すると楽に見えますが、伸びてきたときどうしようもなくなるので、柵をくぐらせずに表面だけにビニタイや麻ひもで縛って固定させます。

 

バラは根をいじると枯れやすいのですが、休眠中は掘り起こしても枯れにくいので、掘り起こして違う場所に植え替えたり、地植えのバラの根を切り詰めて鉢植えに仕立て直したりするのもこの時期がおすすめです。

土がカチカチに凍っていない時間帯を見計らって作業しましょう。

 

3月下旬~4月上旬 水やり再開・春の芽だし肥

寒い冬が終わって、春温かくなると、四季咲きのバラのお世話の再スタートです。

 

葉っぱや枝が込み入ってきた時の剪定

春~秋にかけて、四季咲きのバラを育てていて、葉っぱがわしゃわしゃにのびて地上部の枝が絡み合い、ぎっしりしてくるときがあります。

そんなときは風通しが悪くなって、病害虫が発生し易くなるので、絡み合った枝の、これを取り除いたら他の枝がすごしやすくなると思う枝を切り落とします。

どれを切ったらすっきりするのかはお好みで行いますが、大きな枝を根元から切るのではなく、あくまでも混みあって全体を邪魔している細枝を取り除きます。

株もとから伸びてきている元気のいい細い枝は新枝「シュート」です。バラの古くなった太い枝よりも、シュートのほうが成長も花つきもよいので、シュートはなるべく残しましょう。

 

葉っぱを穴だらけにする虫は薬が効きにくい

葉っぱを穴だらけにする虫、ハバチの幼虫やホソオビアシブトクチバは薬剤ではキレイの取り除くのは難しいので、ハバチの幼虫や毛虫などは枝ごと切り取ってポリ袋に密封してゴミに出し、ホソオビアシブトクチバはテデトール(手で取る)を活用します(私自身は触れないので、ハサミで真ん中を切って放置します)。

バラは虫に大変好かれます。

薬剤が効きにくい虫も多くつくため、そのとき強い薬剤で撃退するよりも、薬剤が簡単に効いて寄り付かなくなるアブラムシなどをオルトランのような強くない薬剤で防いだうえで、薬剤が効きにくい厄介な虫を丸ごと取り除くことで撃退したほうが作業としては楽です。

牛乳や木酢液などでアブラムシを退治して、無農薬で育てる方も多いのですが、無農薬で育てる場合、蕾という蕾にアブラムシがびっしりで、本数が多くなるとその作業だけでも日が暮れてしまいます。余力があまりまくっていないのではない限り、おすすめではありません。

 

長期不在の時のバラのお留守番のさせ方

バラを育てていると長期の旅行には出られないと思っている方も多いかと思いますが、バラはお留守番の優等生でもあります。

水が多過ぎるのと少なすぎるのとでは、どちらが成育状態を悪くするかというと、少なすぎるほうがダメージが大きくなります。

鉢植えのバラがたくさんあるときは、ビニールプールなどに鉢を入れて、戻ってくるまで水がなくならない水量の水を入れておきます。水に浸かったまま、10日くらいであれば根腐れせずお留守番ができます。

帰宅後、プールから出して根が呼吸できるようにするのと、虫がついていないかチェックするのを忘れないようにしましょう。

地植えのバラは、100均でも売っているペットボトルに取り付ける穴の開いたキャップを株もとに挿しておくと、2lのペットボトルであれば、やはり10日くらいお留守番ができます。

水の出が悪すぎて十分に水やりできないものは穴を大きくしたり、逆に水の出が良すぎて一日でできってしまうものは穴をビニールテープなどで覆って小さめの穴をあけなおすなど、流量をあらかじめ調整してから出かけるようにします。

 

まとめ

四季咲きのバラの世話は、季節により変えていく必要がありますが、つきっきりでなくても大丈夫です。

特別な技術がなくても、その時期その時期の世話の仕方を守れば何年も花を楽しむことができます。

虫がどうしてもつきやすいため、虫退治にかける時間がある程度は必要になりますが、虫が付いたらすぐに気が付けるように、穴の開いた葉っぱはその都度取り除き、株元が観察できるようにすっきりとさせておくことがポイントです。

花つきが悪くなったら肥料切れのサインなので、夏の暑い時期以外は多めに施肥しましょう。

 

白いバラの上手な育て方はこちら!