初心者ガーデナーの貸し菜園体験記【その2】

当記事はガーデニング歴の長い筆者が、平成22年の春~平成29年春まで、55平方メートルの民間の貸し菜園を借りて野菜づくりにチャレンジした際の経験談をご紹介したものです。
この記事は3回に分けてご紹介します。
今回は「初心者ガーデナーの貸し菜園体験記【その2】」として第2回をご紹介します。
【その1】をお読みになっていない方は、続きの内容となっていますので、まずはそちらからお読みいただければと思います。
市民菜園に応募して落ち、代わりに民間の貸し菜園を借りることになりましたが、実際借りたのは貸主サイドが提示した1/2のスペースでした。
借りた市民菜園は、もともとはりんご園だった場所なのですが、りんご園の1/2のスペースをまず貸し菜園として貸し出していたようで、今回は残されていた1/2のスペースが貸し出されました。
菜園の隣には依然として、りんご園が残っていましたが、このりんご園も最終的に農地に変わり、新しい貸し菜園へと姿を替えました。
新たに貸し出された貸し菜園
今回新たに貸し出された菜園スペースは、通路分も不埋めて約500平方メートルの敷地で、それらを1/4分割して120~110平方メートルずつの4区画として貸し出されたようでした。
我が家と同じように偏屈・・・いえいえ、こだわりのある方がいらっしゃったようで、2区画が1/2スペースで貸し出されており、結果として120~110平方メートルが2区画、55~60平方メートルが4区画でした。
結論から言うことになりますが、小さい方の区画を借りた4軒のうち、最も若い世代の方は2年ほどで借りるのをやめ、大きい2区画を借りたのは、いずれも一人ではなかったようですが、ほとんど使わないうちに放棄し、その年のうちに借りるのをやめました。
その後、大きい方の区画も、我が家同様半分ずつの区画に変えて貸し出され、どの区画もリタイア世代と思われる年齢層が借りて、ようやく続いているようです。
大きい区画は持て余す
大きい区画を借りた方は、大学生のグループと、有志のグループだったようです。
ようです、というのは、一度もあったことがなく、耕された様子もほぼないまま、翌年、区画が半分ずつに分けられて、新しい人が利用し始めたからです。
大学生のグループは、春先に2.3度会ったでしょうか。
全面にさつまいもを植え付けようとしたらしく、黒マルチを張って、さつまいもの苗を植え付けましたが、ほとんど根付いていなかったように思います。
さつまいもの苗も、植え付け直後数日は、毎日水やりしないと根付きにくいのですが、植えたらなんとかなると思ったらしく、翌週来たら枯れていた~~~といった具合だったようです。
なまじスペースが広いので、苗は根付かないのに、抜いても抜いても草がなくならないことも、放棄する要因になったかもしれません。
余談ですが、結果として、我が家の4倍の面積の市民菜園を借りたPTAで一緒だった方は、トラクターも借りてしっかり耕してからはじめたにもかかわらず、耕作しきれず草だらけにしてしまって、1年で借りるのをやめたそうです。
彼女や彼女の家族に園芸スキルが無いというわけではなく、仕事との関連で週末ガーデナーにならざるを得ず、PTA関連の役割分担などもあって、毎週必ず長時間かけて畑に向き合えるわけではなかったことも、続けられなかった要因になったようです。
元りんご園の落とし穴
我が家の借りた菜園スペースは、元りんご園でした。
借りたとき、一度耕運機で耕したと思われる畝(うね)ができていました。
ちなみに畝というのは、畑にある盛り上がったあの部分のことです。
四角い菜園スペースのうち、南側の1辺がコンクリート塀になっていて、車がそばに止められました。
東西と北側の3辺が隣の菜園との境になっていて、北側は急遽分けたので通路がなく、北側の方とお互いの分を足して、境目を含めて1m幅くらいは通路扱いにして、相手サイド分も少し含めて草抜きしていました。
東西は年配の方との共同通路で、それぞれ草が生えないよう草抜きしていました。
元りんご園の土は凶悪な粘土質
最初耕してあったがために気が付かなかったのですが、元りんご園の土は、凶悪と言える粘土質の土でした。
雨が降ったらじゅるじゅるの沼地の様になり、晴れが続くと「岩盤か?」というほど固くなって、ひび割れてきました。
小石と言うには大きすぎる岩もたくさんあって、漬物石も取れそうでした。
NHK「野菜の時間」の中で、タレントさんが楽しそうに農作業をしていますが、あーんなふかんふかんの、さらっさらの土だったら、どんな阿呆でも失敗しないわ!と叫びたくなるほど、柔らかい土が使われています。
市販の培養土よりも良い土だと思う。
現実の借りた畑からは大きくかけ離れていました。
バーク堆肥や腐葉土や、牛糞堆肥など山程まきまくっても、それでも大して土壌改良できませんでした。
砂地向きと言われるさつまいもは育ちが悪く、収穫するのは恐ろしいほどの重労働で、スコップで掘り上げないと採ることができませんでした。
野菜を育てるにはそれなりの技も必要
草は簡単に育つのですが、野菜はそう簡単には上手に育ちませんでした。
何年やってもうまくいかないものは、自分の耕作パターンに合っていない作物として、栽培するのをやめたほうがいいと言う結論に達しました。
簡単に育てられるものは、今年は植えていないのに!こぼれ種から育ったりします。
例えばスイカですが、熟れているのか熟れていないのか??見た目からは全くわかりませんでした。
花が咲いてから何日くらいたったかで、食べ頃を図るのですが、それをしないと全くわかりません。
3個とれて、1個は全く熟れていなくて、中が白くて、
次の1個は、半分くらい色づいていて、
その次の1個は、割ったら腐っていました。
実家の庭にゴロゴロ転がっていたスイカ。
プリンスメロンの切って皮をむいたやつが、おやつだったときのがっかり感(←飽きていた)。
自分でいいタイミングで作って収穫するのがこんなにも難しいとは!
草抜きがとてもつらい
小さな庭の草抜きでも面倒くさいのに、菜園の外周3辺の草むしりは、週1回しかやらないと、一人で全部草を抜くのに2時間程かかりました。
1辺だけでもコンクリート塀になっていたのは、超ラッキー、または、グッドチョイス!と自分に言いたくなります。
手で抜いたら、抜き終わったら指が痛くなってしびれてきます。
草抜きアイテムその1:草抜き農具
園芸店で、鍬(くわ)に似たような形の草抜き用の農具を紹介されて買ってきました。
驚くほど負担が軽いまま草が抜け、時短ができました。
しかし、この農具は草を抜くのではなく、草の頭をちぎるだけなので、3日で元通りになる役立たずでした。
画像の大きい方の道具がそれですが、サビサビなので、もう使っていないのがよくわかります。
草抜きアイテムその2:フォーク状の草抜き
最終的に草抜きを楽にしてくれたのは、フォークのような形をした草抜きを夫に買ってもらってからでした。
本来は草に草抜きを挿して、回して草を抜くのが正しい使い方ですが、フォークで草をザクザク掘り上げるように使うと、草が根っこから飛ぶように抜けます。
手で抜くのと変わりない時間がかかりますが、根から抜けるので再び生えてくるまで時間がかかり、指が痛くなりません。
炎天下の草抜きは危険
炎天下の草抜きはとても危険です。
朝早く、日が出切る前に草抜きに行ければ、とても爽やかな時間が過ごせますが、子供のお弁当作りもあるので、おいそれと朝にはいけません。
実際、実家でも、農作業を行うのは夏場、8時よりも前に終わっているか、夕方また始めるかで、炎天下では行いません。
でも、空いている時間をみはからって畑に行って草抜きしないと、どんどん草が伸びていきます。
日に焼けるし、疲れるし、熱中症の危険があるし、ろくなことはないのですが、それでも体に鞭打って続けないと、我が家も畑をお返しすることになってしまいます。
土いじりが基本好きだったから
なんだかんだ言いながら、何年も畑を借り続けていたのは、私自身が土いじりが基本的には好きだったからにほかなりません。
「もうやめる。畑を返す」
というセリフは、毎年夏になると口からでましたが、その都度「もったいないね」と夫が言い、「好きにしたらいいよ」と言われ、冬になってしばらく畑に行かないと、また行きたくなったように思います。
収穫云々、作付け云々以前の問題が、私にはいつも重くのしかかっていましたが、やめていった人たちにもまた、同じ問題がのしかかっていたように思います。
土いじりが好きではない人に、家庭菜園は向きませんが、土いじりが好きなら、一度トライしてみるのもおすすめです。
初心者ガーデナーの貸し菜園体験記【その3】に続きます。。。