毎年、秋から冬にかけて憂うつな気分になるのは【冬季うつ病】の可能性も!

「冬季うつ病」という病気があるのをご存知ですか?

その名の通り、寒くなる秋から冬にかけて発症するうつ病のことになります。

秋から冬になると気分が落ち込み、今まで楽しかったことが楽しめない…という方は、もしかしたら冬季うつ病かもしれません。

冬季うつ病の原因はなにか、冬季うつ病と診断された場合はどのような治療を行うのか、改善法はあるのかなどをご紹介していきます。

 

そもそも、うつ病とはどんな病気?

日本人に多いうつ病は、脳に何らかの問題が起きた状態と言われています。

うつ病と聞くと、常に気分が落ち込んでいたり悪い事ばかり考えてしまう病気だと思っている方は多いのではないでしょうか。

もちろんこういった症状もうつ病の症状の1つですが他にも睡眠障害や食欲がなくなる、または過剰にあるなど心と身体に様々な症状が現れる病気です。

 

冬季うつ病とは?

冬季うつ病とは、季節性うつ病(季節性気分障害)の1つで、秋から冬場にかけてうつ病の症状が現れ春になると症状が消える病気になります。

また、女性の患者数が圧倒的に多く、男性患者の4倍近くいます。

 

冬季うつ病の症状

〇気分が落ち込む
〇何に対しても興味がわかず、楽しめない
〇過眠、眠気が強く起きられない
〇疲れやすい
〇過食、特に無性に甘いものが食べたくなる

寒くなると眠くなったり、食欲が増してしまう方は多いでしょうが、これだけで冬季うつ病と診断されるわけではなく、この他にも秋から冬にかけて気分が落ち込むなどの症状があり、またその症状が2年以上続いている場合に「冬季うつ病」と診断されます。

 

冬季うつ病の原因

冬季うつ病の原因は、日照不足によるものだと言われています。

日照不足になると私たちが生活する上でとても重要なホルモン、メラトニンとセロトニンの分泌に大きな影響を与えてしまいます。

<睡眠を調節してくれるホルモン メラトニン>

メラトニンは、日光を浴びることで体内時計に働きかけ自然な睡眠へと導いてくれる働きをしてくれます。

朝起きて日光を浴びることで体内時計がリセットされ身体は活動状態になり、脳からの信号でメラトニンの分泌は止まります。

そして、目覚めてから14時間~16時間後にまたメラトニンは分泌され深部体温が下がり眠気を感じるようになります。

 

このメラトニンは夜にぐっすりと眠れるだけでなく、日中活動している間に発生する活性酸素も処理してくれる働きがあります。

しかし、日光を浴びる時間が減ってしまうとメラトニンの分泌が乱れ、睡眠障害を引き起こしてしまいます。

<幸せホルモン セロトニン>

セロトニンは神経伝達物質で、ストレスによる脳疲労を和らげてくれたり、精神を安定させ満腹感を与えてくれたり集中力を増進させる脳全体に影響を与えているホルモンになります。

この生活をする上でかかせないセロトニンも日光を浴びることで目から脳に信号が伝わり分泌されます。

しかし、日光を浴びる時間が減ることでセロトニンの分泌が減り不安や恐怖を感じたり、怒りっぽくなってしまいます。

 

冬季うつ病の治療法

冬季うつ病と診断された場合はどのような治療を行っていくのでしょうか。

冬季うつ病の治療法①光療法

光療法とは、一般的な学習スタンドの2~3倍の光を毎朝数時間程度機械を使って浴びる治療法になります。

この光を浴びることでホルモンの分泌や体温のリズムが調整されるので、早い方では治療を初めて数週間程度で症状が改善すると言われています。

この治療法は、病院などでも使われているブライトライトという専用の機械(4万円~6万円程)を購入すれば自宅でも行う事ができます。

 

冬季うつ病の治療法②薬物療法

薬物療法は、気分を安定させる効果のある炭酸リチウムを服用していきます。

炭酸リチウムを服用することで、気分の落ち込みや何に対しても興味が湧かないといったうつ病の症状を予防してくれたり和らげたりしてくれます。

また、冬季うつ病は春になると症状が改善されますが、改善されると今まで気分が落ち込んでいたのがウソのように気分が良くなりすぎて、眠らなくても活動ができるほど過活動になったり洞察視力が低下し普段では考えられないような失敗をしてしまう躁状態になってしまう方もいます。

そういった方は、春になっても薬を服用し続けます。

 

冬季うつ病の改善法

①太陽の光を浴びる


毎朝、太陽光を浴びることが一番効果のある改善方法です。

曇りや雨の日には起床時に電気を点けるだけでも構いませんが、晴れている日には太陽光を30分ほど浴びるようにするといいでしょう。

太陽光を浴びることで、冬季うつ病も改善されますし、身体の中でビタミンDも生成されますので骨も丈夫になります。

②早寝早起きをする

冬季うつ病は、体内時計が乱れている状態です。

そんな状態で不規則な生活をしていると、ますます体内時計が乱れ悪循環になってしまいますので、できるだけ毎日同じ時間に寝て、毎朝同じ時間に起きるようにしましょう。

③ウォーキング


冬は寒いので、身体を動かすのが億劫な方も多いでしょうが身体を動かすことで気分を高揚させる働きのある「ドーパミン」が分泌されますし爽快感も感じられるので、気分が落ち込んだ時こそ軽い運動でもいいので身体を動かしてみましょう。

④食事


朝食を摂る習慣のない方は朝食を摂るようにしましょう。朝食を摂ることで一日の活動エネルギーになります。

小麦や砂糖が多く使われている食品ばかり食べている方は胃腸の消化機能が落ちてしまっているので、主食はお米に変えできるだけ小麦製品や砂糖が多く使われている食品は避けるようにしましょう。

また、冬季うつ病の原因にもなっているセロトニン不足を補うためにセロトニンの材料にもなるトリプトファンを多く含む食材を食べるようにしましょう。

<トリプトファンを多く含む食材>

魚(特に青魚はセロトニンを活性化させる働きがあるのでおすすめ)お肉、大豆、バナナ、さつまいも、レバー

⑤お風呂に浸かる


忙しく湯船に浸かる習慣がないという方も多いと思いますが、湯船に浸かることで心も身体もリラックスすることができますし、血流もよくなります。

お風呂の温度は、38℃~40℃のぬるめの方が良い睡眠に繋がりますがぬるすぎて入れないという方は自分に合った温度に設定しても大丈夫です。

浸かるときは、半身浴ではなく全身浴をして長風呂せず身体が温まったら出るようにしましょう。

お風呂に入るタイミングは、就寝1時間前がベストになります。

そして、少しでもバスタイムを楽しめるよう好きな香りの入浴剤やボディソープなどを使ったり、浴室でも使える音楽プレーヤーなどを持ち込んでみるのもいいと思います。

しかし、必ずお風呂に入らなくてはいけないというプレッシャーは逆効果になってしまいますので、初めは自分が入りたくなった時に入るようにして徐々にお風呂に入る時間を決めていってもいいでしょう。

 

まとめ

冬季うつ病の原因や症状をご紹介しましたが、冬季うつ病の症状が当てはまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

症状が当てはまっても日常生活に支障がないようなら病院に行く必要はありませんが、気になる方はまずは冬季うつ病の改善方法を試されてみてください。

また、過眠や過食をしてしまうと「自分はダメだ…」と思ってしまい悪循環に陥ってしまう方もいるかもしれません。

冬季うつ病は近年では認知度が上がってきてはいますが、まだまだ理解している人は多くなく「ただの甘え」と思っている人も多いのが現状です。

周りの人に理解してもらうのは中々難しいことですので、ツライ時には1人で悩まず冬季うつ病を理解している医師に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなるかもしれませんよ。

 

 

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