【老人性うつ病】いつもと様子が違う?「認知症」を疑う前に症状チェック!

うつ病と聞くと、ずっと落ち込んでいる…薬を飲み続けなくては治らない…とマイナスなイメージを持つことが多いですよね。

また、自分とは「無関係な病でありたい。」との思いもあると思います。

最近は、うつ病の患者は増加していて、およそ73万人になるのでは…と報告され、15人に1人は、生涯にうつ病を経験をしていると推定されています。

うつ病は誰にとっても身近な病気なのですね。

うつ病は、脳の働きに問題が起きた状態で、心の症状、体の症状が見られて治療が必要な病気です。

うつ病はあらゆる年代のかたに見られる心の病気ですが、高齢者も例外ではないのです。

超高齢化社会となり、高齢者人口の増加によって65歳以上のうつ病患者も増えています。

この「老人性うつ病」は「認知症」と間違われやすい症状が出ますが、「老人性うつ病」は投薬で改善されます。

 

今回は老人性うつ病と認知症の違いについて詳しく説明をしていきますね。

 

老人性うつ病とは

老人性うつ病というのは、若い人がかかりやすい仕事上のストレスや人間関係のストレスでかかるうつ病というよりは、仕事退職、仕事のリタイア、配偶者を亡くしたという環境の変化により発症することが多いものです。

また、高齢者であるために「元気がない、落ち込んでいる、ぼんやりしている、表情や感情の動きの減少」などと、認知症の初期症状と似ている事も多いため、認知症と間違われることもあります。

認知症と見分けがつきにくいため、うつ病とはわからないまま、どんどんうつ病が進行してしまうこともあります。

ただ、老人性うつ病が最も認知症と違う点は、抗うつ薬による治療を始めると、認知症に似た症状もみるみる改善されていくのが大きな違いになります。

以前、ケアマネジャーをしていた時の利用者が「認知症」との診断だったのですが、少し様子が違うように感じ、セカンドオピニオン的に認知症専門医のいる病院を受診して「老人性うつ病」と診断されました。

「認知症」の薬から「老人性うつ病」の薬へ変更となった事で、症状が改善し表情も活き活きとして活気のある生活へ戻りました。

こんな事もあるので、「老人性うつ病」と「認知症」の間違いは、本人の今後の生活にも密接に関わってきますね。

 

老人性うつ病チェック

老人性うつ病でよく見られる症状は以下のようなものです。チェックしてみてください。

  • 寝つきが悪く、眠りが浅くなる。(朝早く目覚める)
  • やる気がなくなりボンヤリとしている時間が多くなる。
  • 原因がわからない体調不良を訴える(不定愁訴) 食欲がなくなり、痩せてくる。
  • 記憶力が悪くなったこと、物忘れを自覚している。(自覚している場合は認知症ではないです。)
  • イライラすることが多くなった。
  • すぐに泣き出してしまう。
  • 自分を卑下する。
  • 死を暗示することを言う。
  • 小さなことも気になり、不安になる。
  • 飲酒が増えだらしなくなる。
  • 口数が少なくなった。

…などです。思い当たる項目があれば、老人性うつを疑いかかりつけ医に早めに相談する方が良いと思います。

自分ではなかなか気が付けない事もありますので、周囲の家族や介護保険の介護サービスを受けているのであれば、介護サービスの職員からの助言などで早期の発見が出来るかもしれないですね。

 

老人性うつ病の主なタイプ

1、典型的なうつ病

国際的な判断基準によって診断されます。

 

2、仮面うつ病

「だるくて疲れやすい」「耳鳴り」「腰痛」「頭痛」など身体症状が現れ、体調不良の訴えが続きます。

抑うつ気分、思考障害などの心の不調が身体症状という「仮面」に覆い隠されているということで【仮面うつ病】と言われています。

簡単に言うと、他の症状という仮面に隠され、うつ病本来の症状が見えにくくなっているうつ病です。

うつ病なのですが、一見すると他の疾患と間違われることもあります。

うつ病としっかり診断してもらい、うつ病の治療、投薬が行われないと症状の改善は見られません。

 

3、躁うつ病

双極性障害(躁うつ病)の一部として、うつ状態が現れるものです。

若い人に多いですが、高齢者に見られることもあります。

 

4、焦燥型うつ病

不安や焦りが強く、妄想といえるほどの心配や不安にとらわれます。

 

老人性うつ病になりやすい性格

うつになりやすい高齢者には、大きく分けて二つの性格があるようです。

「依存性格」「強迫性格」というものです。

それぞれに詳しく説明しますね。

 

【依存性格】

日常で処理しないといけない事があると、他人の助けを簡単に求めてしまう傾向の性格です。

普段は子供や家族に依存しますが、依存する相手が病気や亡くなっていると、依存対象を失ったショックが引き金となり「このさきどうしたらいいのか…」と不安になり、パニック、うつ状態となるようです。

身内がいても自分を助けてくれる存在を確認して、安心するためにコミュニケーションがうまくいかないと心のバランスが崩れてしまうこともあります。

依存タイプの人は、自立を促す方向へ進めた方が良いのですが、介護問題もあり家族だけの解決は困難とされています。

家族だけで抱え込まずに、介護保険サービス、自治体、地域包括支援センター、病院の協力を得ることも大切です。

 

【強迫性格】

強迫障害とは異なり、強情さ、物事への断定的傾向、時間に強く注意を払うなどの症状です。

強迫性格の人は、基本的には社会的役割やルール、秩序を守り、問題に直面すると一生懸命に解決するという「頼れる人」が多い様子です。

しかし老年期になると、社会的立場や発言力の低下などの環境の変化があり、問題が起こっても自分で具体的に解決することも難しくなり、混乱してしまいます。

この強迫性格は依存性格よりも表に現れにくく、孤独死、認知症に向かうケースもある様子です。

退職や配偶者との死別など、今までの状況が一変してしまうことで気分的な落ち込みや、意欲低下などが見られることも多いです。

本人の自尊心を保ちながら、家族や地域が注意深く見守れるといいですね。

 

家族と介護するかたへのアドバイス

大切な家族や身近な人が、老人性うつ病と診断されたらどのように接したらいいのでしょうか。

ポイントをまとめておきますね。

・定期的に医学的チェックを受け、バランスの良い栄養、適度な運動、良い睡眠習慣が保てるようにする。

・過度のアルコール摂取、処方外の睡眠薬を控える。

・家族や友人、知人との外出を勧め、社会交流を維持できるよう援助する。ただし、うつ症状になっている時は無理に勧めずに様子を見る。

・家族は気楽に接する。

などです。

家族は心配して「一人では心配、同居を。」「施設に入れないと心配。」と思われますが、高齢者は転居や介護を望んでいない事も多いです。

また、転居したり新しい所へ移ることで「うつ症状」や「認知症の症状」が進行してしまうこともあります。

地域のサービスや介護保険サービスを利用や、様子を見ながら、見守りを行い辛抱強く続けて行くことも大切かもしれないですね。

 

老人性うつ病の予防

老年期になって「老人性うつ病」にならないように、今から意識しておくと良いポイントがあります。

・若い時から老後に備え、「老後に何をするか」「退職後に何をしたいか」を考えてみる。

・孤立しない人間関係の構築。(会社勤めのかたは、退職したら人間関係が終わりになってしまう事も多いです。趣味のサークルや、家族との関係作りも大切ですね。)

・必要な援助を、他人に助けを求める態度を持つ。(忍耐強い人、会社での地位も高くプライドの高い人は、助けが必要な状態でも助けを求められないことが多いです。困ったときは市役所などの自治体へのSOSも必要ですね。)

このように自分の状態やストレスについて考えることは、今後の老年期に問題が起こったり、うつ状態になったり、落ち込んだりした時への予防策にもなります。

 

まとめ

老人性うつ病について書いてきましたが、認知症とは違い、老人性うつ病は投薬で治せます。

自分ではなかなか気が付かない事も多いので、日ごろから家族とのコミュニケーションを取ることや、家族が遠い時は近所の人や介護保険サービスの職員、またはかかりつけ医とのコミュニケーションの中で気が付いて受診を勧めてくれることも多いです。

そんな時は、精神的疾患で通院することのへの抵抗をなくして早期に受診しましょう。

老人性うつ病の段階であれば、服薬ですぐに回復して今までの生活が継続できる可能性が高いです。

うつ病は15人に1人がかかる病気だと思えば、受診のハードルも低くなりますね。

早期発見と早期受診で、つらい気持ちを治して今まで通りの生活が継続できるといいですね。

 

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