80歳まで自分の歯で食べる!今やっておく虫歯・歯周病予防に大切な三つのこと

入れ歯じゃなく自分の歯で食べたい。高齢の方が口をそろえておっしゃる言葉です。
80歳まで20本の歯を残そうという「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」というのがあるのは聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は「8020推進財団」という財団まであるんです。(なんでも財団とか○○法人とかってあるもんなんですね^^;)
8020推進財団によると、25歳までは虫歯、歯周病以外の原因(外傷、矯正、その他)により歯を失うことが多いのですが、35歳を境に虫歯、歯周病により歯を失う人が増えて、45歳以降ではおおよそ80%の方は虫歯、歯周病で歯を失うそうです。
つまり、逆に言うと、歯のケアをきちんとしていれば80歳でも20本の歯を残すことは可能なのです。
歯の治療代は保険適用でもすぐに数万円、見た目重視で治療すると保険適用外となり、軽く10万を超えてしまいます。
きちんとケアをしていれば必要ないお金ですので、その分旅行や自分の趣味に回せますよね。
子供のうちからケアしておけばよかった~と親を怨む前に当記事をよく読んでいただいて、ご自身の歯を80歳まで20本残すように頑張りましょう。
また、ご家族の方へも歯のケアの大切さを理解していただいてみんなで一本でも多く健康な歯を残しましょう~
虫歯の原因
ご存知な方も多いと思いますが、まず、虫歯の発生原因について整理しましょう。
虫歯は歯と歯の間、歯と歯茎の間に残った食べカス(プラーク)中の虫歯菌が糖を分解し、口内を酸性にし、歯のミネラル成分(カルシウムなど)を溶かし出す(脱灰)状態をいいます。
虫歯の初期は口内環境を中性に整え、唾液や、外部からミネラル分を補給してあげることで歯のセミネラル成分が再度結晶化(再石灰化)し元に戻りますが、脱灰の状態が続くと虫歯が進行し、再石灰化による修復はできなくなります。
こうなると歯科医に行って治療をする必要があります。
虫歯の原因は虫歯菌、糖質、虫歯になりやすい体質(歯質、唾液分泌)が関係しているといわれています。
1969年にKeyesという博士が虫歯の相関関係について提唱したものです。
その後時間軸をプラスした「Newbrunの4つの輪」が現在の虫歯の原因とされています。
一つ目の因子:虫歯菌(ミュウタンス菌)が口の中に多数存在する
二つ目の因子:虫歯菌の餌となる糖質の摂取が多い
三つ目の因子:歯質が弱い(虫歯になりやすい歯質)、唾液の分泌が少ない、唾液の質(phやカルシウム濃度)など
四つ目の因子:酸にさらされている時間が長い
毎食後歯を磨いているのに虫歯になってしまった、逆に一日一回しか歯磨きしなくても「虫歯ゼロ」なんて方もいます。
それは虫歯菌の多さや、歯質が弱いなどが原因かもしれません。
また、中高年期のむし歯の多くは歯の根元(象牙質)におこります。これは歯周病や過度のブラッシングなどにより歯肉が下がり、隠れていた象牙質が新たに露出してくるためです。
象牙質はエナメル質よりも酸に弱く溶けやすい上に、歯の根元のすき間(歯周ポケット)に食べかすがたまりやすくことも原因となります。
同時に加齢とともに唾液の分泌も少なくなり、むし歯にかかりやすい条件が揃って行きます。
歯肉の下がる最大の原因は歯周病です。
歯肉の健康を保つためには適切なブラッシングと、唾液の分泌を促すようによく噛んで食べることが大切となります。
歯周病の原因
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性の疾患です。
歯と歯肉の境目の清掃が行き届かないと、そこに細菌が停滞して歯垢(プラーク)が蓄積します。
歯垢の中の歯周病菌により歯肉が炎症を起こして赤くなったり腫れたりします。
初期の段階では自覚症状がないのがほとんどです。
そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯がガタつくようになり、最後は歯が抜けてしまったり抜歯をしなければいけなくなってしまいます。
歯肉炎がひどくなるといわゆる歯槽膿漏といわれる状態になります。
歯を失う原因の4割は歯槽膿漏といわれています。
虫歯同様、口内環境を中性に保つこと、そのために虫歯菌・歯周病菌などの口内の悪玉菌の活性を押さえる必要があります。
歯石がなんでいけないの?
歯石はそれこそ石のようなものなのでそれ自体には害はありません。
ただし歯石には軽石のように無数の細かい穴が開いておりその中に菌が繁殖します。
虫歯菌や歯周病菌などの住みかとなってしまうので除去が必要となります。
歯石はたくさんの細菌の固まりが唾液中のカルシウムやリンによって石灰化したものです。
なんと歯石は歯の再石灰化と同じ原理で食べカスが歯に沈着したものなんですね。
ですので、歯石は非常にかたいもので通常ブラッシングでは取れません。
歯医者さんで取ってもらわないと除去は出来ません。(専用器具があれば自分でも取れますが、歯や歯肉を傷つけるリスクが高いのでやめましょう)
そうならないように、やわらかい(除去できる)歯垢の段階でブラッシングを入念に行い、 プラークコントロールしておくことが口内環境を保つためには重要なことです。
食べカスが24時間で歯垢になり、48時間で歯石になるといわれています。
歯垢はうがいやガムなどでは取り切れませんので、食後の歯ブラシが重要となります。
唾液のすごい働き
唾液は口内環境を中性に保ち、私たちの歯を虫歯から守ってくれています。
また歯の再石灰化も唾液の成分であるカルシウムやリン酸により行われます。
消化を助ける消化酵素も含まれていますし、殺菌作用も強いので口臭予防にもなります。
つばつけときゃ治るなんて子供のころよく言われましたが、あながち嘘でもないのかもしれませんね。
唾液の分泌量が多い人や唾液の質(虫歯から守る力の程度)が良い人は、虫歯になりにくいと言えます。
食事の時にはよく噛んで、唾液をたくさん出すようにしましょう!
唾液には具体的に以下のようなはたらきがあります。
虫歯菌や食べカスを洗い流すはたらき
虫歯菌が出した酸を中和するはたらき
溶かされた歯を修復するはたらき
プラークの形成を抑えるはたらき
口内環境を整える3つの方法
上述の通り口内のプラークコントロール、中性化で虫歯・歯周病は予防できます。
以下の3つをきちんと実践して口内環境を整えましょう。
1.適切なブラッシング
一番大事なのは適切なブラッシングです。
ブラッシングも正しい方法で実施しなければ意味がありませんので以下の5点に注意して適切なブラッシングを行いましょう。
1-1.自分に合った歯ブラシを選ぶ
歯ブラシは、大きさ、硬さ、形状など様々です。
自分に合った歯ブラシを選ばないと効果的なブラッシングができません。
大きさは、奥歯の隅まで入るよう小さめの物を選びましょう。
硬さは、基本的には歯肉を傷つけない「やわらかめ」のものを選びましょう。
歯ブラシで重要なのは歯を磨くことより、歯と歯の間、歯と歯茎の間の汚れを落とすことです。
ただし柔らかすぎると歯垢を落としにくくなってしまいますので、歯垢をしっかり落とせる程度にやわらかめのものか、やわらかめだと汚れが落ちていないと感じる方は普通の硬さを選んだ方が良いと思います。
いずれにしても固めの歯ブラシは歯茎を傷つけて炎症を起こしたり、歯肉を下げてしまうのでおすすめしません。
また、適切な周期で新品に交換することも重要です。
1-2.歯周ポケットにある歯垢を意識して磨く
歯を磨くというよりは歯と歯茎の間の歯周ポケットの中をブラシの先を入れる感じで磨いてください。
理想としては歯ブラシの毛先が、歯に対して45度に当たる感じです。
一番菌が繁殖しやすいのは歯周ポケットです。
1-3.力を入れて歯を磨かない
力を入れて歯を磨くと歯の汚れは落ちるかもしれませんが、歯肉も傷つけてしまいます。
力加減としては2本の指、もしくは3本指で持つ感じでけっして歯ブラシを握らないことです。
毛先がしならない程度にブラシを当てて、同じ個所を少し長めにブラッシングするようにしましょう。
力で落とすというより繰り返し(数)で汚れを落とすイメージです。
そのため電動歯ブラシも非常に効果があります。
1-4.歯ブラシは小刻みに、往復20回
極端に言えば歯1本1本ずつ磨くつもりで磨くとよいです。
歯ブラシを小刻みに振動させるように動かし、「往復20回」を心掛けて磨きましょう。
1-5.寝る前に特に念入りに磨くようにする
就寝中は唾液が減り、歯周病が進行しやすいので、寝る前にしっかりと歯を磨いてください。
*歯ブラシでは取りきれない歯の間の汚れは、歯間ブラシやデンタルフロスを使うとよいです。また、デンタルリンスの使用も細菌増殖をおさえるのに効果的です。
2.口内をなるべく中性に保つ
口内が酸性に傾かなければ脱灰は起こらず、虫歯にはなりません。
常に口内を中性に近づけておくには虫歯菌の餌となるショ糖を洗い流しておく必要があります。
一番良いのは歯磨きですが、外出先などで歯ブラシができない場合もあるかと思います。
その場合はキシリトールガムを噛みましょう。
キシリトールには口腔内の環境を整える様々なメリットがあります。
3.定期的な検診・歯石除去
日々のケアが大事ですがそれでも除去しきれない汚れがたまり歯石化していきます。
半年に一度は歯医者さんに行って検診・歯石の除去を行いましょう。
歯医者さんでフッ素をコーティングしてもらうと歯が丈夫になるばかりか初期虫歯の再活性化もされます。
まとめ
いかがでしたか?
40代50代になると歯肉が下がってきますのでエナメル質が露出し、虫歯になりやすくなります。
同じく歯周ポケットに悪玉菌がたまりやすくなり、歯周病にもかかりやすくなってきます。
健康な歯、歯茎を守るためには適切な歯ブラシ、歯間ブラシ、キシリトールガムなどでプラークコントロールを行い、口内環境を中性に保つ必要があります。
若頃に治療した虫歯も定期的に詰め物のチェックなどを行い、必要であれば詰め物を詰め替えたり、ブリッジの架け替えなど定期的なメンテナンスを行うことで、口内環境の健全化が図れます。
何事も予防が大切なんです。
80歳まで20本の歯を目指して皆さんもメンテナンスに心がけてくださいね。