いつかは訪れる更年期障害 知っておくと安心な診断基準と治療法

更年期障害は40代~50代の女性にとってはとても気になる病気ですよね。
更年期障害の症状はなんとなく分かっていても、どのような治療を行っていくのか分からず不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
しかし、どんな治療法があるのか知ることで「分からない不安」という気持ちも少しは軽くなるはずです。
今回は、女性の誰もが通る道である更年期障害の診断基準や治療法などをご紹介していきます。
更年期障害とは
更年期障害とは、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の減少が関係していて、閉経を挟んだ前後10年の間に現れるのぼせやほてり、不眠などの症状が出る病気になります。
症状自体はどの女性にもでますが、症状の重さには個人差があり、中には日常生活に支障をきたすほど重い症状がでる方もいらっしゃいます。
軽い症状の方は、病院に行く必要がないと考えるでしょうが、更年期障害と思っていても違う病気が隠れている場合もありますので、症状の軽い、重いに関係なく更年期障害の症状かもしれないと思ったら婦人科を受診することをおすすめします。
更年期障害と似た症状がでる病気
更年期障害だと思っていても、このような病気が隠れている場合があります。
〇のぼせ、ほてりの症状・・・高血圧、心臓病、バセドウ病、甲状腺機能障害
〇頭痛やめまいの症状・・・耳鼻科系の病気、脳の病気、メニエール病、くも膜下出血
〇月経異常・・・子宮筋腫、子宮がん
〇動悸、息切れの症状・・・肥満、狭心症
〇頻尿、残尿感の症状・・・膀胱炎
〇顔や手足のむくみ、口の乾燥の症状・・・糖尿病
〇関節痛・・・関節リウマチ
などの様々な病気の症状と更年期障害の症状は似ています。
このような病気も病院で検査しないと見つけることはできませんので、更年期障害の症状だろうと自己判断せずに医師にきちんと診てもらいましょう。
更年期障害の診断基準
更年期障害の症状かな?と思ったら、まずは婦人科を受診しましょう。
婦人科での診察は、月経の状態やどんな症状がいつ頃から出ているかなどの問診、血液検査を行います。
血液検査では、血中の女性ホルモンの濃度が分かり、更年期障害の診断をする上で役立つものになります。
その他には、内診を行い子宮内膜症や卵巣嚢腫などがないか診ていきます。
また、閉経後の女性は骨粗しょう症になりやすいので骨密度の検査を行うこともあります。
血液検査は更年期障害の診断をする上で役に立つものではありますが、更年期障害にははっきりとした診断基準がないのが現状です。
はっきりとした診断基準はありませんが、症状に合わせた検査をして何も異常がなければ更年期障害と診断されます。
更年期障害の治療法
更年期障害と診断されたら、症状に応じて「ホルモン補充療法」「漢方療法」「カウンセリング」「生活改善指導」などの治療法をおこなっていきます。
それぞれどのような治療法か1つずつご紹介していきます。
更年期障害の治療①ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、減少してしまった女性ホルモンのエストロゲンを飲み薬や張り薬で補って症状を軽くしていく治療法です。
この薬は保険が適用されますので、自己負担も少なく更年期障害の根本的治療になっています。
しかし、エストロゲンを補う薬を長期間服用していると子宮内膜ガンになるリスクが高まりますので、3カ月以上服用する場合には黄体ホルモン(プロゲステロン)剤も一緒に処方されます。
ホルモン補充療法のメリット
〇治療効果を実感しやすい(早い人は治療を初めて数日で実感できる)
〇皮膚の乾燥やかゆみが改善される
〇アルツハイマー病や骨粗しょう症発症の予防にもなる
ホルモン補充量療法のデメリット
〇ホルモンが減少したことが原因で起こる症状にしか効果がない
〇副作用がある(不正出血、下腹部の痛みや乳房のハリ、むくみ、胃の不快感)
副作用の不正出血や下腹部の痛み、乳房のハリなどは体が薬に慣れれば治まりますが、むくみや胃の不快感がある場合には処方してもらった病院の医師に相談してみましょう。
ピルからホルモン補充療法への切り替えのタイミング
月経痛や月経不順、月経前症候群の治療のためにピルを服用している方もいらっしゃると思います。
ピル自体は30代後半~40代前半の月経痛や自律神経失調症に有効ですが、ホルモン補充療法で使用されるホルモン剤に比べエストロゲンの量が多いので更年期に服用すると、子宮筋腫の増大や子宮内膜増殖症などの病気の発症率が高まります。
また、閉経後もピルの服用を続けると乳がんや血栓症のリスクが高まります。
ピルからホルモン補充療法へ変える明確なタイミングはまだありませんが、40代半ごろにピルを1週間休薬しホルモンの値を測定し閉経が近いか判断し、その値を参考にしながら医師と相談していつから変えるか決めるといいでしょう。
更年期障害の治療②漢方療法
ホルモン補充療法に抵抗がある方や持病があり服用する薬が多い方などには、この漢方療法を行います。
漢方療法は、ホルモン補充療法が取り入れられる前から行われていてホルモンの乱れを生薬の力で整えてくれる治療法です。
しかし、漢方療法を全ての婦人科が取り入れているとは限りませんので、漢方療法を希望する方は行こうと思っている婦人科に問い合わせるなどして行くようにするといいでしょう。
また、漢方療法も婦人科で処方されるものは保険が適用されますので、自己負担が少なくすみます。
漢方療法のメリット
〇複数の症状を同時に和らげることができる
〇体調に合わせた漢方を組み合わせて処方してくれる
〇ホルモン補充療法に比べ副作用が少ない
漢方療法のデメリット
〇ホルモン補充療法に比べ効き目を実感するのに時間がかかる
〇体質に合わない漢方薬だと効き目が全くないとこともある
〇体質に合わない漢方薬だと食欲不振や頻尿、ほてりなどの副作用がある
漢方薬は効き目を実感するまでに時間はかかりますが、体質に合ったものを服用していけば長期的な治療にも向いています。
2週間服用しても全く効果を感じなければ処方してもらった病院の医師に相談しましょう。
更年期障害の治療③カウンセリング
更年期障害の症状には、ほてりや発汗などの身体的な症状から不眠やイライラ、うつなどの精神的な症状もでます。
精神的な症状には気持ちを和らげることのできるカウンセリングの治療が効果的だと言われています。
現代の女性は、精神的にも体力的にも頑張っている方が多くいらっしゃいます。
しかし、頑張りすぎてしまうと更年期障害の精神的な症状を悪化させてしまいますので、我慢せずにカウンセリングを受ける時間を作ってみるのもいいかもしれませんよ。
カウンセリングを受ける際は、精神科や心療内科を受診するといいでしょう。
更年期障害の治療④生活改善指導
夜更かしや運動不足などの生活習慣の乱れも更年期障害の症状を悪化させる1つの原因になりますので、そういった方には医師から食事や日常生活の過ごし方などのアドバイスや簡単な体操などの指導があります。
まとめ
更年期障害の症状かもしれないと思っていても、忙がしく病院に行く時間がないという方や病院に行くほどの症状か分からず我慢している方もいると思います。
しかし、ご紹介したように更年期障害の症状だと思っていても違う病気が隠れている事もありますので、自己診断せずにまずは1度病院に行ってみましょう。
治療法に不安がある方も医師に話を聞いてもらったり、医師からきちんとした説明を受ければ不安も少しは解消されるのではないでしょうか。
治療法を選ぶ際には、どの症状を一番楽にしたいか、また、この先どのように過ごしたいかを明確にしておくことが大切です。
また、最終月経日はきちんと覚えておき、両親の病歴、今服用している薬の有無(ある場合は何の薬を服用しているか、お薬手帳をもっているなら持っていくといいです)などを医師に伝えると問診がよりスムーズにいくと思います。